MENU
お知らせ内容をここに入力できます。 詳しくはこちら

若手医師のリアル

  • URLをコピーしました!

病院の中の医療は全て医師の指示のもとという体で行われる。入院すると実は患者さんに関する様々な指示すでに出ているのだ。これを指示簿という。たとえば手術後に痛みが出た時、いちいち医師へ電話して許可を得てから鎮痛薬を使用するのでは患者さんも痛いし、医療者側も電話の手間があり面倒である。指示簿に「疼痛時、アセトアミノフェン500mg1錠内服」などと書いてある。すると、看護師さんは患者さんが痛みを訴えた時に使えるというシステムである。熱や痛みだけではない。シャワー浴びていいか、病室から出ていいかなども事細かく指示が出されているのだ。それくらい病院では医師の指示のもと行われているのだ。基本的には指示簿の入院セットがあるので、それをパソコンに展開すればいい。予定されている入院であればセットでいいのだが、緊急入院や術後経過が期待通りではない場合はその都度細かい指示を入れなくてはいけない。基本的には若手医師1人で方針を決めることはない。上の経験ある医師と相談しながら、時には他科の先生に意見を伺う時もある。相談した上で(相談という名の上の医師の指示のケースが多い)、その内容を指示簿に反映させるのが若手医師の仕事だ。上の方針に従いながら、治療の経験を積んでいく。こうすることで患者に不利益を出さずに、若手が成長していくというバランスをとっている。

ここまでは一見良さそうな話だよね。教育もしながら、医療も提供していて。ただ、患者さん人数が多くなると話が違う。朝回診で上司の指示、処置、手術の点滴取り。若手でも外来も少しある。ただ緊急入院というのはいつでもやってくるし、出す指示も多い。やってくる時間もこれが夕方くらいなんだよね、困っちゃう。

上の先生は上の先生で外来やら会議やら忙しい。手術や診療の責任もある。大学病院では学生の指導もある。だから仕方ないんだけど。タスクシフトが進まないかなあ。たとえば、手術や化学療法の点滴とり。看護師は「医師が取ることになってます。」の一言。上の先生が口頭でこれやっといてって言った仕事、看護師への指示。「指示簿入れてくださーい」って。ただ、看護師も看護師で忙しい。指示簿セットに看護師の業務などが盛り込まれた「パス」ってのがあるんだけど、このパスを展開すると、患者さんチェック項目リストがわんさか出てくる。褥瘡リスク、せん妄リスク、身体抑制、入院診療計画書、退院支援項目などなど、、、なんでこんなオーバースペックなことしているかって、病院がお金をもらうために、ちゃんと患者さんのこと見てますよって色々な評価をしていることを示さないといけない。病院も経営回すのに余裕ないからね。つまり、病院はみんながみんな切羽詰まって頑張っているってこと。だから文句言わずに頑張らなきゃいけないんだけどね。

若手医師は「専門医とるまではとりあえず頑張ろうかな」って人が多い。若手の看護師も数年で辞める人が多い。職員全員が無理をしている状況なので、皺寄せが若手に行きやすい。多くの人が辞められたら辞めたいって思っている職場って少し悲しいよね。

子供が生まれて働き方を見直すいい機会になった。人が死ぬ間際に働きすぎて後悔するってよく聞く。子供が小さい頃の1年間をもう一度体験できるってなったら、他の全てを投げ打っても体験したいと思うだろう。もちろん仕事だけ、育児だけの極端な話ではないけど。仕事が美徳化されている日本で、多くの人が仕事一辺倒な生活をしている。そんな中で自分のいいバランスはどこなんだろうともう一度考えてみよう。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次